gzmlhzmkwq7w3の日記

 自分の趣味とか雑感その他を、気が向いた時に書き連ねる予定です。【2023/12/20追記:昨今の問題について筆者のスタンスを書きましたので、ブログトップに表示しています。】

月組大劇場公演の千秋楽ライブ配信を見たので今のうちに感想を書きたい

 この日を待っていた。2020年11月1日、宝塚歌劇団月組公演「WELCOME TO TAKARAZUKA」「ピガール狂騒曲」の大劇場千秋楽。
 本来の公演日程と公演日程調整後の2回に渡って連休を移動させたほど楽しみにしていたが、諸般の事情により観劇を断念した。だからこそ、千秋楽はどんな形であっても見逃すわけにはいかなかった。そのぶん社会人として出来ることはお金を落とすことかなと思い、キャトルレーヴオンラインで宝塚GRAPHのバックナンバーを数冊、公演プログラムは買おうとした日に売り切れてしまったためル・サンク(ここ重要)を購入し、可能な限りの心構えを行った。
 そんなわけで、Rakuten TVでの千秋楽のライブ配信を見た感想を思いのままに書いていきたい。作品の内容よりも、出演者に対する感想の割合が高いと思う。時々愛称になるのは許してほしい。何となく入団期も併記。

 

 

 

  • JAPAN TRADITIONAL REVUE「WELCOME TO TAKARAZUKA ―雪と月と花と―」

 すっきり端正でまとまりの良いレビューだった。演目発表の時は珠さま(主演)だから玉さま(監修)という発想先行かと思っていたが、序盤と終盤は舞台そのものが明るく照らされている場面、中盤は打って変わって演者自身の放つ光で舞台を照らしている場面が多いように感じられ、なるほどこれは月組以外考えられないと思った(?)。うまく伝わっている自信がない。
 プロローグで『雪をたずねてどこへ行こう』と歌っていた2名はハモリが良かった。A・B日程でメンバーが異なり、千秋楽では咲彩いちごさん(104期生)と詩ちづるさん(105期生)のコンビだったらしい。
 月城かなとさん(95期生)はしゃべ化粧だと轟悠さん(71期生)のエッセンスを感じる瞬間があった。雪組顔なのかな(轟さんはもともと月組だったそうだが)。
 106期生の口上。上手側の霧乃あさとさん、「加えていただきました!」の語尾が元気。下手側の乙華菜乃さんは可愛かった。106期生39名が同じ舞台に立つのはこの日が最後なんですね。あと衣装が可愛くてほっとした。若紫色の着物に日本髪。
 月が満ちるのをバックに繰り広げる場面、こういう人海戦術宝塚歌劇の醍醐味でもある。はじめは3組の男女以外が顔出ししていなかったので、この顔の出てない人たちも全員美人なこの空間やばいな……と思った。斜めにバーンと並んで、扇子が波のように滑らかに動くのが格好良かった。
 主題歌の歌い出しがキャッチ―なのも好き。『ウェルカム!ウェルカム!タカラヅーカー』ってふとした瞬間に口ずさみそうになる。筆者の好きな他ジャンルの話になるが、こんなにウェルカムウェルカムって言われると歌パレ*1かな?と思った。

 

 原田諒先生がこういう軽快な作品を書くイメージがなかったのでちょっと驚いたし、突っ込みたいところもいくつかあるんだけど、なんやかんやでおめでたく丸く収まる作品が初舞台公演で良かったと思う。
『この世界が劇場なら人は誰もが道化役者』という歌詞。主役じゃなくて道化役者というのが良い。本当の自分を探して新たな人生を始める、ジャック(演:珠城りょうさん、94期生)とガブリエル(演:美園さくらさん、99期生)だから2人が主人公なのだなと。
 ガブリエルのアパルトマンにジャックが現れた時のSEが完全に少女漫画でクスっときてしまった。あと、「私を助けると思って……」と言う弁護士は絶対に頼れない。ビラ配りの男を演じていたのは蘭尚樹さん(100期生)らしいが、出世しそうな感じがした。アンリ・ゴーティエ=ヴィラールもといウィリー役の鳳月杏さん(92期生)が飛びながら台詞を口にするあたり、大人気なさが前面に出ていて面白かった。マルセル役の輝月ゆうまさん(95期生)はいつの間にやら悪役が似合う男役になっていた。そしてがなりが上手い。弁護士・ボリス(演:風間柚乃さん、100期生)がバケツを被ってムーラン・ルージュに潜入した場面、ボリスのいる上手が映るたび笑ってしまった。
 月城さんのロングトーンすごい。今作の月城さんには、ムーラン・ルージュの創業者であるシャルル・ジドレールという役に見合った貫禄をだんだんと感じた。なんとなく若手なイメージがあったけれど、研11。1期上の珠城さんのほうが若々しく感じるのは不思議だ。そしてジャックがシャルルに心惹かれるのも納得できる描写で安心した(過去の原田先生の作品を考えると)。ガブリエルからジャックはともかく、その後のガブリエルとヴィクトール(演:珠城)の恋愛描写がおざなりなのは気になったけど。
 そしてカンカン!やっぱりカンカンは良いな!宝塚のカンカン最高!
 暁千星さん(98期生)が踊ると劇中レビューとしての説得力が段違いに増す。彼女のような華のあるダンサブルなスターが今後も生まれてほしい。回転技(連続11回転くらい?)素晴らしかった。
 仮面を付けたジャックとガブリエルがデュエットダンスする場面、鏡張りになると観劇している側も映るので臨場感が増した。

 フィナーレに入って、106期生の初舞台ロケット。斜めに3分割(?)して踊るシーンや、足上げをしながらつないだ手を高く上げる振付が印象に残った。オールドローズとベビーブルーという淡さのある色味でまとめたトリコロールの衣装も初舞台生らしくて、息の合ったラインダンスを見せてくれた彼女たちの今後に幸あれと祈った。
 珠城さんを囲む淑女たちのナンバー、2人ずつ珠城さんの前に出てくるのが可愛い。ここを誰と誰で組ませるかでセンスや性癖が問われそう。
 続いて打楽器の強い面白いアレンジで始まる紳士たちのダンス。ジャージャー言っていたのはどの楽器だろう。
 そしてトップコンビのデュエットダンス。黒燕尾の珠城さんと、すみれ色の地に銀色の装飾が付いたドレスで舞う美園さんを見ていると、なぜこのコンビにはオーソドックスなレビューが回ってこなかったんだろうと惜しい気持ちになった(タイが舞台のレビューはあったけど、ちょっと変わり種に属する気がする)。
 パレードで大団円。最後の並びだと、下手から水色(美園さん)、白色(珠城さん)、ピンク色(月城さん)の順かつ珠城さんの雉羽根が下手から水色、ピンク色になっていてトリコロールが完成するのは視覚的に面白いと思った(ジャックとヴィクトールの2役だから2色?)。あと娘役の白いドレスにスリット入れたの天才の所業。

 

  • 月組生の頼もしさ ―出演者にまつわる雑感―

 縁があるというか勝手に縁を感じている生徒が何人もいるのが月組だ。学生時代の友人と同郷だとか、別の友人のバレエ教室の後輩だと教えてもらったとか、そういう形で存在を知った生徒がいて、他組には1人もいない。初観劇が月組だったということもあり、月組公演を見ると、芝居の細やかさがなんともしっくり来るというか馴染むな……と思う。
 光月るうさん(88期生)は組長に。初舞台生の口上の際の挨拶をする瞳の強さに、管理職の貫禄を感じた。紫門ゆりやさん(91期生)はいつ見ても顔が良いし、眼鏡も素敵だった。紫門さん研16……?
 筆者が観に行けた最後の初舞台公演「1789」で初舞台を踏んだ101期生のなかでは、2名をあげたい。1人目は、芝居でミスタンゲットという出番の多い役を演じていた天紫珠李さん。あの時は男役だった彼女が、歌も芝居も娘役転向組とは思えないクオリティでやり切っていてほほうと思った。2人目は、彼女のとろんとした可愛らしいお顔は日本物のしゃべ化粧でも判別しやすかった結愛かれんさん。ショーだとプロローグ、芝居だとフィナーレというように珠城りょうさんの後方に映り込む場面がライブ配信では何度もあり、彼女の独特な色っぽさが作り出す彩りは貴重だと感じた。
 同じく「1789」、筆者が観に行った貸切公演でお手伝いをしてくれていたのが、当時研2の風間柚乃さんと夏風季々さん(ともに100期生)。風間さんの大活躍は観劇できていなくても耳に入ってきていたが、筆者がひっそり気にしていたのは夏風さん。月組配属で愛称が「つきこ」なこと、両手でハンドマイクを持っているうちに腕が開いてしまったことが印象的で、「開いちゃうの分かるよ、つきこちゃん」と微笑ましく見守っていた。そんなつきこちゃんが、名前のある役を演じ台詞を貰い、フィナーレの淑女大階段場面では結愛さんと対に立って珠城さんの後ろという絶好のポジションを得ていたことに胸が熱くなった。
 芝居のカンカンでは海乃美月さん(97期生)がソロで5回転くらいしていただろうか。彼女は「1789」では役替わりでトップスターの相手役をしていた。彼女の綺麗で大人っぽい顔立ちは上級生になってから映えてくると思っていたので、今でも宝塚歌劇団に身を置いてくれていることがありがたい。
 そして蒼真せれんさん(98期生)、この作品に欠かせない大役だったがプログラムに載ってなかったらしい。ル・サンク買っていてよかった。背が高くて爽やかで、青系の衣装が似合う。この公演がきっかけで彼女に注目したという人は私含め多数いることだろう。次に観劇できるときは、彼女をさがしてみよう。
 ここまで名前と入団期を並べて書いたことで気付いたが、筆者は102期生以降に対する知識・認識が圧倒的に足りない。ライブ配信は画面で映る範囲しか見えない、という当然のことながら重要な特徴があるため、現地で観劇できていたら、「プロローグで筆者の正面にいたあの人は……」とか「群衆芝居で面白そうな会話をしているように見えたあの人は……」のような独自な視点での新たな発見ができたかもしれない。

 

 最後に、松本悠里さん(44期生)。
 筆者の初ミエコさんは「白鷺の城」(2018年宙組)で、突然のセリフに「直接脳内に……!」とびっくりしたのが思い出された。
 今作ではヴィヴァルディの「四季」より「冬」と鳥居という斬新な組み合わせの場面でじっくりと舞を堪能したが、心なしか瞳が潤んでいるように見えた。伏し目がちになってセリ下がりしていくのも切なかった。
 フィナーレで着用していた黒地に紅白の梅の着物。両肩と背中にかけて白い翼の絵柄が描かれており、今作でミエコさんが退団されるということを実感した。素晴らしい舞を見せてくださり、ありがとうございました。

 

 思いつくままに書いたので、かなり散漫で読みにくい記事になってしまった。

 次の月組公演こそは、宝塚大劇場で見届けたい。

*1:アイドル育成カードゲーム・アイドルマスターSideMに登場するアイドルユニット・Cafe Paradeの持ち歌『Cafe Parade!』のこと。1番も2番も「Welcome!」で始まるし、サビでも「ようこそ」「おいでよ」と歌う楽曲。なおユニット名と曲名が同じなので、区別するために楽曲のほうを「歌パレ」と呼ぶことがある。