gzmlhzmkwq7w3の日記

 自分の趣味とか雑感その他を、気が向いた時に書き連ねる予定です。【2023/12/20追記:昨今の問題について筆者のスタンスを書きましたので、ブログトップに表示しています。】

ファンレターにまつわる2020年の回想録を書いてみたい

 新年早々、空想も感想も祝福もない記事を初めて書くことにする。

 

 3年前、初めてファンレターを書きたいという気持ちを抱いた。
 その相手は、今のところ最後に宝塚大劇場で観劇した公演に出演していたタカラジェンヌのひとり。
「あのシーンの肩肘の張ったドレスの裾の持ち方が、△△という役のプライドの高さを表現しているようでとても格好良かったです」
ただこれだけを伝えたいと思った。
 だから躊躇した。そんな動機で書いていいものなのかと。
 そして油断していた。高い技量と存在感で舞台を力強く支えるその人は、きっと次にその組を観に行く時もいてくれるに違いないと。便箋も封筒も切手も持っていないし、またの機会で大丈夫だろうと。
 その人が、筆者が行けなかった次の公演で退団してしまうとも知らずに。
(なおその人自身は現在宝塚歌劇と少し違うフィールドで活躍されているのだが、もしもあの時のあの気持ちを今から手紙にしたためようとしても、きっと今の自分には再現できないだろうし、再現すること自体が今のその人に失礼だとも思えてくる。) 

 

 前置きが長くなった。

 

 2020年は、何かを応援するという行為に対するハードルが軽くなった年だったと個人的には感じている。
 Uターン就職と同時に広がった大劇場への距離も、東京のどこかで繰り広げられていることすら知らなかったコンサートへの参加資格も、予想だにしなかった形で近づいた。エンターテインメントに関わるあらゆる方々のおかげで、遠くに出かけることなく応援したい人たちのパフォーマンスを見られた。そうして得られた前向きな気持ちが、行われなかった別のエンターテインメントを引き続き応援することへのモチベーションになった。だから感謝と称賛の気持ちを、どうにかして伝えねばならないと思った。
 そんなわけで、人生で初めてファンレターを書いたことが筆者にとって2020年最大の出来事だった。しかも2人分。

 とはいえ勇気が必要だったのは間違いなく、1通目については、コンサートのMCで名前が挙がった場所で昔購入していたレターセットと劇中のパフォーマンスに関係のあるデザインの切手を持っていたという偶然がなければ書き始められなかったと思う。2通目を書く頃には、偶然はもう必要なくなっていた。
(幻のファンレターに対する後悔はふとした瞬間に筆者の頭をよぎり、旅行先でいろんなモチーフのレターセットを探してみたり、封緘に使えそうなシールを手に取ってみたりという行動に結びついていた。切手については仕事に関する申請のために購入する必要があり、何となく選んだ切手シートのテーマが合致するという奇跡が起こった。)

 

 こうした行為の裏には、「送った相手がいつかいなくなってしまうのでは」という不安を解消したいという気持ちも少なからずあった気はする。このご時世に見知らぬ人間からの贈り物という形をとって良いのだろうか、という気持ちは正直今もある。
 ただ何というか、窓口と衝動と実行力がある限りは続けても良いんじゃないかと思える。感情は刻一刻と変わって然るべきだし、その時の自分の気持ちを好きな見た目にプロデュースして誰かに届けられるって面白いなあとも思う。誰かを応援する人間として恥じない礼儀と人間性は必要だけど。
 黎明に有望な未来への軌道を描いて見せた格好いい人たちや、現地で観劇できなかったと正直に伝えたのに年賀状を届けてくれた素敵な人に思いを馳せるうち、取り留めもなくそんなことを元日の夜に考えたのだった。

 

 去年初めて届いたファンレターの送り主がこんな空想癖のある人間だと何かの間違いでバレていないか、それだけが心配である。

 

 

(もう日付変わりかけですが、2021年1月2日(土) 午前10:30~午後0:00にNHK BSプレミアムにて「新春・宝塚スペシャル WELCOME TO TAKARAZUKA」が放送されます。
 筆者が泣く泣く千秋楽ライブ配信での観劇に絞った宝塚歌劇団月組公演のショーが高画質で見られるチャンス。「お着物のショー?」と戸惑うことなかれ、まとまりの良い端正なショーです。しかも初舞台公演なので第106期生による口上がついている貴重な公演。受信できる環境のかたは是非ともご覧ください……!)