gzmlhzmkwq7w3の日記

 自分の趣味とか雑感その他を、気が向いた時に書き連ねる予定です。【2023/12/20追記:昨今の問題について筆者のスタンスを書きましたので、ブログトップに表示しています。】

2022年版・好きなジャンルの名前がどれくらい現役タカラジェンヌに近いかを調べたい・後編<大相撲力士>

 昨年に引き続き宝塚歌劇団の現役生徒の芸名に使われる字について調べ、それぞれの芸名に含まれる字を使っている延べ人数(以下「人数和」) と、それぞれの字の所属組別の使用率を算出しました。
 そして前回そして前々回の記事ではこのデータを用いて、筆者の好きな人たちの名前はタカラジェンヌだとどなたに近くてどの組に近いかを調べました。
 今回は、算出の過程で思い浮かんだ仮説を検証するべく、もう1ジャンルの名前で同じ調査を行いました。

 

※この記事から読まれた方はおそらく筆者が何をやっているのかよく分からなくなると思われますので、前回そして前々回の記事に一度目を通していただけると良いかと存じます。※

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 今回調べたのは、大相撲力士の四股名。ひょんなことから取り口にスケールとロマンを感じてとある力士の動向を気にするようになり、それがきっかけで数年前からテレビ越しですが大相撲を観るようになりました。大相撲は力士の大半が四股名を名乗る業界ということで、日本の芸名文化という意味でタカラヅカとは興味深い共通点を持っています。

 大相撲力士は幕内から序の口までで600名以上が該当するため、今回は「関取」と呼ばれる幕内と十両の力士が対象。
 現役タカラジェンヌの芸名に使われている字の一覧を用いて人数和を、所属組別の使用人数の和および比率を算出。さらにそれぞれの四股名タカラジェンヌだと誰の人数和に近いのかを(筆者の独断で2~3名選んで)併記しました。
 そして過去の集計時に思いついた3つの仮説の正誤と、幕内と十両それぞれで最も人数和の大きい力士を予想し検証しました。

 

 せっかくなので人数和算出ルールを大相撲に関係する名前に適用した例がこちら。


 現・二所ノ関親方の現役時代の四股名である「稀勢の里」は
++++」 = 10+0+10+5+0 = 25
となり、同じ人数和のタカラジェンヌ鳳月杏さん(月組)ら4名が該当します。また所属組別の使用人数を全て足したものに対する各組の使用人数の和の割合(以下「人数基準」)、所属組別の使用率の和を全て足したものに対する各組の使用人数の使用率の和の割合(以下「比率基準」)ともに宙組っぽい名前ということになります。出てこない文字はゼロ扱いです。
 四股名はスポーツニュースなどで短縮して呼ばれがちですが、今回は四股名全体で人数和を算出することにしました。四股名の確認は、2022年5月21日時点で日本相撲協会ホームページの「力士を探す」機能を用い、番付の条件を「幕内」「十両」それぞれに設定してヒットする力士の情報から行いました。すなわち令和4年5月場所の幕内力士42名および十両力士28名が集計対象です。

 なお、当記事の「現役タカラジェンヌ」は公式生徒名鑑である「2022年度版 宝塚おとめ」(刊:宝塚クリエイティブアーツ)に顔写真付きで掲載されている計424名を指し、その後の組替えや退団は反映していません。

 

 

予想

 筆者が立てた3つの仮説はこちらです。

仮説1:関取の四股名宙組に偏りやすい
 →正と予想。特に四股名の後半は一般的な姓名の要素を含む事例が多いと考えられるため。

仮説2:幕内より十両のほうが人数和は大きい
 →正と予想。十両は「美」「海」の付く四股名が多いため。

仮説3:関取全体の人数和の分布は、平均値より中央値が低く一部の人数和の大きい少数派の力士が平均値を引き上げる「SideM型」をとる
 →正と予想。四股名は「勝」「雄」などが頻出であることから、人数和の大きな四股名が少なく、人数和の小さな四股名がたくさんあるという分布をとる可能性が高そうなので。「SideMって何?」と思われたかたは前回の記事をご覧ください。

 最大人数和の力士については幕内と十両それぞれで本命、対抗および大穴の3名を決めます。
 幕内の本命は志摩ノ海関、対抗は大栄翔関、大穴は遠藤関と予想しました。志摩ノ海関は「海」持ちで一番人数和が大きくなりそうなこと、大栄翔関はタカラジェンヌに使われている文字が最低でも3つ以上見込めること、遠藤関は四股名の後半が強そうなことから選出です。特に志摩ノ海関に関しては婚約者が元タカラジェンヌ*1という意地を見せてほしいと思いました。
 十両の本命は空海、対抗は美ノ海関、大穴は朝乃若関と予想しました。天空海関は字の並びの雄大さがいかにも芸名らしいですし、美ノ海関は人数和の大きい字「美」と「海」の両方を、そして朝乃若関はさらに人数和の大きい字「乃」を持っていることから選出しました。十両は3名選ぶのが難しかったです。

 

結果

 今回は関取全体のみで人数和が大きい順の表および計算表を掲載し、所属組別の使用率の偏りが分かりやすいように併記しました。



基本データ

 関取全体では最大値57、最小値0。平均値14.9、中央値12、最頻値2。人数基準、比率基準いずれも宙組に偏ります。
 幕内では最大値31、最小値0。平均値11.7、中央値11、最頻値2。人数基準、比率基準いずれも宙組に偏ります。
 十両では最大値57、最小値0。平均値19.6、中央値18、最頻値0。人数基準では月組、比率基準では宙組に偏ります。
 基本データだけでも仮説の検証は可能ですが、ここから詳しく考察していきます。

傾向

幕内

 人数和の大きい順に宇良関隠岐の海(同数で人数和31)、佐田の海(人数和29)、照強関(人数和28)と続きます。人数和最大候補と予想した志摩ノ海関は人数和24、大栄翔関は人数和18、遠藤関は人数和12でした。
 なんといっても思わぬ伏兵・宇良関ですね。「海」や「翔」そして文字数の多い四股名は人数和が大きくなると考えていたところ、まさかの本名四股名が幕内最大を記録しました。照強関にも言えるのですがタカラジェンヌで使用者が増加した「輝」を含んでいるため、振り返ってみれば納得の結果です。

十両

 人数和の大きい順に美ノ海関(人数和57)、空海英乃海関(同数で人数和50)、朝乃若関(人数和43)と続きます。人数和最大候補と予想した関取全員が上位4人に入りました。
 幕内より予想が当たりやすかった理由は、タカラジェンヌでよく使用される「乃」「海」が頻出で傾向を読みやすかったためだと考えられます。
 関取全体および幕内と毛色の異なる傾向として、人数基準で月組に偏ったことが挙げられます。これは前述の「乃」「海」の使用者が比較的多くかつ月組生に多い字であったことが影響していると言えるでしょう。

関取全体

 人数和の大きい順に並べると、上位6名が全員十両の力士。そして人数和が大きい力士は月組に偏っていき、小さい力士ほど花組に偏っていき、人数和の大小にかかわらず宙組への偏りが散見されるのがなんとなく分かるかと思います。月組への偏りについては十両の項目で考察したので省略しますが、花組は「太」「龍」が使用者が少なくかつ使用率の高い字に該当するため、宙組は使用者の多い「輝」「翔」「の」だけでなく使用者の少ない「山」「明」なども使用率が高いためこのような結果になりました。関取の四股名タカラジェンヌに使用されている字のみを抽出すると最も多い組み合わせが「山・太」で*2、それぞれ宙組花組に1名ずつしか使用者が居ないため偏りも全く同じになります。
 SideMは人数和の平均値が13.9、中央値が8で両者の差が約4ということで、関取の人数和のそれとはやや開きがありますが、大小関係は同じ。また、SideMと関取の人数和を同じグラフに収めるとこうなります。

 分布の形としては結構近いといえるのではないでしょうか?

 

仮説の正誤

 これより、仮説の正誤が確定しました。

仮説1: 関取の四股名宙組に偏りやすい
 →正。ただし十両は人数基準で月組に偏る。

仮説2: 幕内より十両のほうが人数和が大きい
 →正。

仮説3: 関取全体の人数和の分布は、平均値より中央値が低く一部の人数和の大きい少数派の力士が平均値を引き上げる「SideM型」をとる
 →正。ただし平均値と中央値の差は大きくない。

最大人数和の力士

 幕内では宇良関隠岐の海十両では美ノ海関。関取全体では美ノ海関が最大となる。

 

 

 以上の結果になりました。予想が多めに的中して楽しかったですね。

 こうしていくつものジャンルの集計を行っているうちに気付いたことを書いておきます。
 1つ目は、一般的な姓名ほど宙組に偏るとは限らないということ。
 宙組生の使用率が高い字に「山」「松」「木」が含まれることから上記の疑問を抱いたのですが、いわゆる本名四股名の力士4名のうち2名は宙組への偏りを示す一方、残り2名は宙組ではなく花組への偏りを示すんです*3。しかも幕内最大の人数和を記録した宇良関が花組に偏るとなると、「一般的な姓名」というくくりで宙組に偏ると結論付けそうになったのはやや乱暴だったなと感じました。

 2つ目は、「の」と読む字について。
「の」と読む字は使用者の多い順に「乃」>「の」>「ノ」であり、使用者が少ないほど比率基準で特定の組が上位になりやすいことがなんとなく分かってきます。例えば平仮名の「の」は宙組生が最多のため宙組に、片仮名の「ノ」は雪組生1名のみ使用のため雪組に偏りやすいんです。実はSideMのアイドルで平仮名が入っている2名はどちらも「の」が入っており、前回の記事で思い浮かんだ「平仮名が入っていると宙組に偏りやすい」はバイアスを否定できない考察でした。関取の四股名に使われる平仮名も大半は「の」なので、関取での検証だけではバイアスを除外できません。

 

 バイアス除外のためには他のジャンルでも検証を行うべきなのでしょうが、正直なところデータ元と例を含め4ジャンル575名の検証で今年は精一杯でした。来年も同じ作業を出来るかは自信がありませんが、統計作業、仮説の設定および検証という一連の作業はとても楽しかったです。

 

 また筆者が動向を気にしている力士は本来集計対象外の番付なのですが、計算してみたところ人数和45で同じ人数和のタカラジェンヌ万里柚美さん(専科)ら4名、人数基準では月組、比率基準では宙組に偏ります。集計対象内だったなら結構大きいほうなのですが残念。這い上がってこい!

 

 というわけで、4回に渡る調査は今回で完結です。

 

 読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

※当記事に掲載している図表は予告なく修正・変更することがありますのでご注意ください。

*1:志摩ノ海関の婚約者は宝塚歌劇団第92期生で、宙組花組に在籍した天咲千華さん。先代の井筒親方(元関脇 逆鉾)のご息女ということでも婚約発表時に話題になりました。

*2:荒篤山関豊山武将山関の3名。

*3:宙組に偏るのは正代関遠藤関の2名、花組に偏るのは高安関宇良関の2名。正代関は雪組、高安関は専科へも偏ります。