gzmlhzmkwq7w3の日記

 自分の趣味とか雑感その他を、気が向いた時に書き連ねる予定です。【2023/12/20追記:昨今の問題について筆者のスタンスを書きましたので、ブログトップに表示しています。】

宝塚歌劇団の好きなポスターを語りたい

 宝塚歌劇で毎回楽しみにしているのが公演ポスターです。
 チェコの映画ポスターの展覧会を見に京都へ足を運んだくらいにはもともとポスターが好きで(専門的な勉強は一切していませんが)、何かの機会に語りたかった気持ちが、最近ふつふつと蘇ってきました。
 そういうわけで、筆者が観劇し始めた2014年以降の公演ポスターから筆者の趣味で10選してみました。実際の公演を見ていない作品が多く含まれており深いところまでは触れられない気がするので、あくまで一個人の感想としてとらえてもらえればと思います。クリックすると歌劇団ホームページのポスター画像に飛びます。
 早速いきます。

 

 

1. 「TOP HAT」 (宙組・2015年)

 新トップコンビプレお披露目公演ということで、華やかで明るい雰囲気が好きです。朝夏まなとさんのベストと実咲凜音さんのドレスがどちらも金色で素敵。後ろに紫色の大きなシルクハットが配置されていて、トップコンビが精巧なミニチュアみたいに見えるのも可愛いです。 

 

2. 「星逢一夜(ほしあいひとよ)」 / 「La Esmeralda(ラ エスメラルダ)」 (雪組・2015年)

 見ての通りお芝居が前面に出たポスター。夏の公演だったので、寒色でまとめたことによる清涼感も魅力。エメラルド色っぽい感じもあるので、ひょっとするとショーの要素も入っていたのかもしれません。深海のような色合いゆえに画像中央に散在する白い効果は泡だと思っていたのですが、もしや蛍だったのでは。既にどこかで解説されていたらすみません。

 

3.  「双頭の鷲」 (宙組・2016年)

 白と黒のコントラスト、硬質で美しい2人が強い。というかこの構図そのものが強い。筆者は「少女革命ウテナ」のオープニングを連想しました。このポスターについてはいくら言葉を探しても陳腐な表現しか出てこないので、多くは語りません。

 

4. 「不滅の棘(とげ)」 (宙組・2018年)

 ここまでは2人映りのポスターを紹介しましたが、1人映りの場合もあります。 真っ白な衣装に真っ白な背景、そこに投げかけられる灰色の陰影が、見る者の心を疑わせます。瞳が赤~茶色っぽいのにも引き込まれます。愛月ひかるさんのクラシカルかつ骨太さのある男役像をいかに押し出すかという点で、撮影者のこだわりも感じ取れる1枚です。

 

5. 「群盗 -Die Räuber-」 (宙組・2019年)

 物語の時代背景や設定が一切伝わらない珍しい公演ポスターで、芹香斗亜さんの耽美的なビジュアルを堪能できる仕様になっています。筆者としては時々こういうポスターがあってもいいんじゃないかと。芹香さんと4. の愛月さんとは同期生(93期)どうしで、白の愛月・黒の芹香といった対照的な仕上がりですね(それぞれの持ち味としては白の芹香・黒の愛月っぽい気がします)。

 

6. 「阿弖流為 -ATERUI-」 (星組・2017年)

 一言でいえば劇画。礼真琴さんと有沙瞳さんの勇壮な姿が印象的で、確かに森や土の匂いが感じ取れる画面作りとなっています。日本物のポスターでアルファベットがドーンと表示されているのはちょっと不思議かもしれませんが、文字の勢いが迫力の演出に一役買っていて、個人的には違和感がありませんでした。

 

7. 「MESSIAH(メサイア) -異聞・天草四郎-」 / 「BEAUTIFUL GARDEN -百花繚乱-」 (花組・2018年)

 日本物のポスターが違う方向に行くとこうなります。人物は劇画ではなくCGというかゲームのキャラクターのような仕上がり。紙でできているポスターに燃える炎をデザインし、余白を大きめに残しているのがなんか好きです。中央下に鎮座する「MESSIAH」がクール。この公演は芝居・ショーともにタイトルがアルファベット表記だったため、こうして見ると「日本物とは……?」という気持ちにはなりました。

 

8. 「WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-」 / 「ピガール狂騒曲~シェイクスピア原作「十二夜」より~」 (月組・2020年)

 公演ポスターのなかにはエフェクトがちょっと強いかなあと思うような作品も時折ありますが、それが良い方面に作用しています。赤紫色を基調にムーディーでお洒落に仕上がっており、初めて見た時に観劇意欲がぐっと沸いたのが思い出されます。公演ポスターの目的を再確認する1枚です。

 

9. 「龍の宮(たつのみや)物語」 (星組・2019年)

 初見での衝撃は未だに忘れられません。ノスタルジーを感じさせる色調と公演タイトルロゴ、そしてポスターに映る2名の構図が、物語への期待を掻き立てました。先行画像は水中を思わせるような背景で瀬央ゆりあさんが1人で映っているというものだったため、「陸に上がった!」という衝撃もありました。
 公演ポスターにありがちなのが、主演の男役はこちらを見ているのに、相手役の娘役はこちらでも主演の男役でもない方向を見つめているという構図。見ている方向が合わないことが、切ない心のすれ違いを予感させるんですね。宝塚歌劇団での演出家デビュー作でこのポスターを世に送り出した指田珠子先生が凄いです。

 

10. 「ダル・レークの恋」 (月組・2021年予定)

 ポスターを見てからしばらくの間「はわわわわ……」となったのは人生で初めてでした。当記事の執筆動機はこのポスターが公開されたからです。
 月城かなとさんの端正な美の万能性が本当に素晴らしくて、瞳に吸い込まれそうですね。海乃美月さんの往年の娘役を思わせる仕上がりのお化粧がとても良いです。公演案内をスクロールするとこのポスターだけ2021年とは思えない古典感を醸し出しており、それが非日常の夢の世界であることを際立たせていると思います。絵画かな?

 

 

 宝塚歌劇団関係のポスターのデータベースはこれだけではありません。なんと阪急文化アーカイブズにて、阪急文化財団の資料として検索および閲覧が可能です。1919年から2014年までの公演ポスターのみならず、毎年異なる生徒がモデルを務める阪急初詣ポスターが1967年の分まであるという充実度(いずれも筆者調べ)。もちろん阪急電鉄そのものや不動産・ショッピング事業からのお知らせポスターも多数所蔵されています。ポスター好きにはたまらないコンテンツ。

 2013年以前のポスターだと、「LUNA」 / 「BLUE・MOON・BLUE」(月組・2000年)横尾忠則さんによるアバンギャルドなデザインでビビりますね。宝塚大劇場版もなかなかですが、Takarazuka1000days劇場版でショーのタイトルを分断するように立つ紫吹淳さんと上部の月が強烈です。

 

 ディナーショーやミュージック・サロン、宝塚巴里祭のポスターが公演バックナンバーにないのは残念ですが、こうして振り返るといろんなポスターがあって興味深かったです。
 読んでいただき、ありがとうございました!